日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
よろこび法話 よろこび法話

#036
~三日坊主~

島根県出雲市為久寺聖徒団団長
岡田 法弘

出家しても中途半端な気持ちで修行を極められずに、三日後には俗人に戻ってしまうことから生まれた言葉。

私は今年三十四歳を迎え、僧侶になって十年以上経ちます。三日坊主ではありませんが、性格は熱しやすく冷めやすいタイプで、何か物事を始めてもすぐに飽きてしまいます。

三日坊主

例えば、去年の夏に「最近太ったな、お腹周りが気になるな、疲れやすくなったな」と感じジョギングをはじめました。熱しやすく冷めやすい人はまず大抵の場合、形から入ります。スポーツ用品店に行き、店員さんとジョギングの楽しさについて語りながら用具を一式揃え、家に帰る道中、語りつくした心と手に提げた買い物袋の重みで、ジョギング欲はすっかり満足してしまい、結局買ったものを袋から出さずに熱が冷めてしまいました。

その後、何もしない様子を見た妻に注意され、ジョギングをはじめましたが、筋肉痛や雨が続くと「明日でいいかな」が一日一日と続き、結局一ヶ月でジョギングは終わりました。

皆さまの中にも同じような経験をされた方もあるのではないでしょうか。熱しやすく冷めやすい人の最大の短所は、やはり堪え性がないことでしょう。完璧主義者の一面がある一方、上手くいかないことがあると、それが許せずに辛抱出来なくなってしまうからです。

また、ある程度同じことが続くと刺激が少ないことからマンネリ化し、興味を失っていきます。

趣味の中だけで堪え性がないのならいいのですが、これが仕事や結婚生活にまで繋がると問題です。転職を繰り返したり結婚してすぐに離婚したりなど、なかなか生活の基盤が整えられない人の中には、熱しやすく冷めやすい方が多いと言えるでしょう。

当山に霊断を受けに来る方でも、転職、恋愛、離婚の相談が非常に多いです。それに伴い信仰も同様、祈願をすれば満足。生活がうまくいっていれば月守りを交換に来ない。また、うまくいかなくなった時だけ霊断を受け、祈願を行い、月守りを交換するといったケースが非常に多いです。

日蓮大聖人は御遺文の中で、

抑も今の時、法華経を信ずる人あり。或は火のごとく信ずる人もあり。或は水のごとく信ずる人もあり。聴聞する時は燃立つばかりおもえども、とおざかりぬれば、すつる心あり。水のごとくと申すは、いつもたいせず信ずるなり。此はいかなる時も、つねはたいせず、とわせ給えば、水のごとく信ぜさせ給えるか。

上野殿御返事
三毒

と説かれております。

すなわち、法華経を信心する人の中には二通りあり、火のような信心をする人と水のように信心する人がいる。火の如き信心とは、教えを聞いた時は燃え立つように熱心に信仰するが、それは一時的なもので、時と共に熱が冷め、やがて捨て去ってしまう。一方、水の如き信心とは、いつも退せず持続して信じることであるとお示しになられております。

熱しやすく冷めやすい、その様な性格はなかなか変えることはできません。趣味の範囲であれば良いですが、信仰においてすぐに良い結果を求め、結果がなかなか出なければ認めない、信じないという考えでは、いつまでたっても心の満足は得られません。

辛い時期があるからこそ、それを乗り越えた先に待ち受ける小さな光がとてつもなく大きく感じ、諸天善神に護られている有り難さを実感できるのです。

絶え間無く流れる大河の水の様に、持続する信仰心を持つことで、幸せが訪れる。このようにお示しになられた日蓮大聖人を信じ、法華経、お題目の功徳を一人でも多くの方が体感し、弘まっていくことを願っています。

※この記事は、教誌よろこび平成30年1月号に掲載された記事です。

イラスト 小川けんいち

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