日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
法華経のお話 法華経のお話

#078
無量義経の段その三十六

大轉輪王小轉輪王。金輪銀輪諸轉輪王。(無量義経徳行品第一)

1.日本人より優れている人びとは、異教徒の間には見いだすことができない
(フランシスコ・ザビエル)

基督教による日本侵攻の先鋒と言えば、髪の毛フサフサなのに敢えて頭頂だけは剃髪という不思議なヘアスタイルでも有名な、聖人フランシスコ・ザビエルです。

そのザビエルが(カトリックにおける)日本の守護聖人と定めたのが、かの有名な熾天使(セラフ)ミカエル(なぜか今はザビエル自身が日本の守護聖人ですが)です。このミカエルは、警察官や救急隊員の守護者であり、またお菓子職人の守護者(故にミカエルの縁日、九月二十九日は洋菓子記念日だそうです)にして、やがて来るというハルマゲドンにて、悪魔の化身たる邪龍を打ち倒すものとしても有名な大天使です。

そんなミカエルこそが、唯一神に仕える全ての天使たちの頂点に立つ、大天使長とされています。火・風・水・地の四大元素中、火を司る天使ゆえに、眩い耀きを放ち、上へ上へと上昇することが、頂点に立つに相応しいイメージなのでしょうね。

実はこの「火」という元素の重視は、佛教においても同様なのです。

法華経のお話_フランシスコ・ザビエル

2.俺のこの手が真っ赤に燃えるぅ!勝利を掴めと、轟き叫ぶぅ!
(ドモン・カッシュ)

佛さまのお使いとして、衆生救済に当たられる存在と言えば、ご存じ菩薩さま。文殊菩薩、観音菩薩、地蔵菩薩等々、数多の菩薩方がいようとも、その頂点を極めるのが、日蓮大聖人の前世たる上行菩薩であることは、日蓮佛教を学ぶ者なれば常識中の常識でしょう。

実はこの上行菩薩もまた、その属性は輝き燃え上がる火の元素。佛教とカトリック、全然違う宗教なのに、どちらも至高の存在に仕える使者のトップは、火の属性なんですね。

是の菩薩衆の中に四導師あり。一を上行と名け、二を無辺行と名け、三を浄行と名け、四を安立行と名く。是の四菩薩其の衆中に於て最も為れ上首唱導の師なり。

妙法蓮華経従地涌出品第十五

似ているのは、トップだけではありません。上行菩薩に続くのは、風の属性たる無辺行菩薩、水の属性たる浄行菩薩、地の属性たる安立行菩薩(もっとも四大菩薩と四大元素の関係は、法華経そのものには明示はされていませんが・・・)ですが、これってミカエルに続く熾天使たち、風のラファエル、水のガブリエル、地のウリエルと、その属性も序列も全く同様、ピッタンコ・カンカンなんですね。

四大天使

3.もっと有名になりたい!
(松島 彩)

片やいつの日か天界より舞い降りて、悪しき人類を殲滅する存在。片や大地の奥底から湧き出でて、全ての衆生をお救い下さる存在と、その役割は全く真逆な立場ではあっても、共に神や佛といった至高の存在よりのお使いです。

だからでしょうか、四大天使と四大菩薩には、その特性、人数、序列等々と、共通点が多いところが、何ともはや意味深ですね。

もっとも、カトリック教徒以外にも有名な四大天使と比べ、四大菩薩の一般的な認知度の低さは、異常とも言えるほどです。これでは「日蓮大聖人は本化上行菩薩の再誕」と言っても、他教他宗未信無信心の方々にとっては、何のことやらで終わっちゃいますよね。

これは我ら日蓮門下一同も、よくよく反省すべき点でしょうな…

※この記事は、教誌よろこび平成26年11月号に掲載された記事です。

イラスト 小川けんいち

塩入幹丈

元霊断院主任

福岡県妙立寺前住職

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