日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
法華経のお話 法華経のお話

#057
無量義経の段その十五
(二)

十一月二十三日の真実

大轉輪王小轉輪王。金輪銀輪諸轉輪王。(無量義経徳行品第一)

十一月二十三日といえば、皆様ご存じの通り勤労感謝の日。

同じ秋の祝日でも、敬老の日や体育の日はクルクル変わって何時なのかよくわかりませんが、この勤労感謝の日だけは、そうそう変えるわけにはいきません。

なぜなら勤労感謝の日という呼称は、実は世をしのぶ仮の名。その真実の名は新嘗祭(にいなめさい)であったのです。

その年に実った五穀、殊に新米を天皇自ら日本国中の神々にお供えし、五穀豊穣を感謝する収穫感謝のお祭りであり、あの「飛鳥!」の世から行われてきた朝廷の最も大事な年中行事なのです。

新しい天皇の即位式で行われる大嘗祭(だいじょうさい)が、実は新嘗祭のバージョンアップだと言えば、その重要度がおわかりになるでしょう。

お米あってこその我が国日本。そのための大事な神道行事を司ることこそ、天皇の最優先の務めと言えるのです。

十一月二十三日の真実

いわば全国の神主の頂点に立つ、神主の中の神主、それこそが天皇の実態。(ゆえに代々、日本には政治を取り仕切る別の権力者たちがいたわけです)。

その“神主・ザ・キング”たる天皇が、代々にわたり佛教徒である事実、それこそが、この日本が本来神佛習合の国であった証なのです。

あぁ、されどされど、今となっては皇室にその痕跡すらありません。

泉涌寺が皇室の菩提寺であったことを知る人も、そうそうおられないでしょう。

皇室がかくあれば、国全体もそうなるもの。明治以降には、残念ながら神と佛の蜜月期も終わってしまいました。

その国、その土地の思想宗教の良き点と習合してこその佛教が、これでは退化してしまったようなもの…。しかしこの残念な状態も、実は致し方ないことだったのです…。

塩入幹丈

元霊断院主任

福岡県妙立寺前住職

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