日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
法華経のお話 法華経のお話

#052
無量義経の段その十三
(一)

菩薩界転生

大轉輪王小轉輪王。金輪銀輪諸轉輪王。(無量義経徳行品第一)

「四海領掌の偈」が書きこまれた菊の葉より、日毎に滴たる朝露。

その露が流れ込んだ川の水は、やがてこの世のものとも思えぬ甘き甘露の水となっていたといわれています。

周の世の美少年菊慈童が、千年の時を超えて若く美しい姿を保ちながら生き続けた不思議も、全てはこの甘露の水を飲み続けていたおかげ。

その身をもって「四海領掌の偈」の神秘を証明した菊慈童から、魏の文帝に伝えられたという「四海領掌の偈」。

代々の魏皇帝に伝承されたこの秘伝の教えは、やがて一人の高僧に受け継がれたと伝えられます。

その方こそは、あの天台大師の師、観音菩薩の再誕とも、聖徳太子の前世とも謳われし、南岳大師その人なのです。

薬王菩薩は天台大師となり、観世音は南岳大師と成り、弥勒菩薩は伝大士となれり

呵責謗法滅罪鈔
菩薩界転生

日蓮大聖人様が、お釈迦様に次ぐ高僧として最も尊敬されたのが、震旦の天台大師と日本の伝教大師でした。

実は伝教大師は天台大師の生まれ変わりであり、その天台大師は薬王菩薩の再来であると伝えられています。

同様に天台大師の師匠である南岳大師は観世音菩薩の再来であり、その南岳大師の生まれ変わりこそが、日本佛教の元祖たる聖徳太子だったといいます。

薬王菩薩は病気平癒の効験が有名ですし、観世音菩薩は申すまでもなし。どちらも佛教界のスーパースターと呼ぶべきお方です。

そのお二人が、それぞれ震旦から日本へと転生していく目的こそは、お釈迦様の時代から末法(お釈迦様がお亡くなりになられて二千年後から始まる、正法が衰退した時代。一万年続くといいます)の日蓮大聖人様の世となるまでの間、正しい法華経信仰を橋渡しするためなのです。

これは、最も大事なことを継承するためだからこそ、スーパースターたちが自ら出陣しているともいえますが、逆にそのス―パスターたちでさえ、悪が栄える末法の世ではメインとはなりえず、その先駆けを務める以外にない。それだけ末法において正法を貫くことの困難さをも意味しているわけです。

その末法においてメインを張るわけですから、先陣を切られた大聖人様の偉大さも、それに続くべき門下(つまり私たちですね)の使命の重要さもひとしおなわけですね。

イラスト 小川けんいち

塩入幹丈

元霊断院主任

福岡県妙立寺前住職

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