大轉輪王小轉輪王。金輪銀輪諸輪之王。國王王子國臣國民。國士國女國大長者。各與眷屬百千萬數而自圍遶。來詣佛所頭面禮足遶百千匝。燒香散華種種供養。已退一面坐。
無量義経 徳行品第一
佛教伝説の転輪聖王(てんりんじょうおう)、それはあのマケドニアの英雄アレキサンダーが、モンゴルの勇者チンギス・カーンが、コルシカ島の怪物ナポレオンが、そしてナチス・ドイツの悪の天才ヒトラーが夢み果たしえなかった悲願、俗世間における人類最大の野望、世界征服を実現しうる唯一の男なのです…。
文王、殷の紂王に打たれしかば、武王百ケ日が内、いくさををこしき。白ひ・叔せいは武王の馬の口にとりつきていさめて云く、をやし(親死)して後三ケ年が内いくさををこすは、あに不孝にあらずや
兄弟抄
異体同心の鑑とも言うべき周が、同体異心の塊たる殷商王朝を打破した殷周革命。
この時、周の武王(成王の父にして周公の兄)を批判し、周の革命を真っ向から拒否したのが、当時高名な隠者(知的なニートたちのこと)伯夷(はくい)と叔斉(しゅくせい)の兄弟です。
二人は周の治世を否定するあまり、国土の食物さえも拒否した結果、餓死に至ります。
そこまで彼らが拘った周の許せなかったこと、それは如何に殷商王朝が圧政(暴力)を行なってきたとは言え、武王たちが武力(暴力)を以て政権を奪取した点です。
堯舜(ぎょうしゅん)等の聖人のごときは、万民において偏頗(へんぱ)なし。人界の佛界の一分なり
観心本尊抄
この武王に打倒された殷商王朝でさえ、その始まりは今より三七〇〇年もの昔ですが、その古き殷商よりも、さらにさらに古き伝説の時代に五人の帝たちが代々、ここ黄河の地を治めていたと言います。
その名を皇帝(こうてい)・せんぎょく・帝こく・唐尭・虞舜、五人そろって五帝!と申します。
この五帝は国民を等しく慈しみ、正しく国を治めた高潔なる指導者であり、大聖人様も彼らこそ佛様の心の一分を発動させた聖者だ!と讃えられています。
万民を等しく慈しむ故に、五帝間での政権移動は、血筋よりも指導者の器の有無が何よりも優先されました。
徳ある人から徳ある人へ政権がゆずられる、本当の意味での禅譲です。
伯夷と叔斉は、この平和の中で行なわれた五帝時代の政権交代を理想とする故に、暴力で政権奪取した武王の周を否定したわけです。
イラスト 小川けんいち
元霊断院主任
福岡県妙立寺前住職