日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
法華経のお話 法華経のお話

#034
無量義経の段その六
(四)

不滅の霊鷲山

「一時佛住。王舎城(おうしゃじょう)。耆闍崛山(ぎしゃくっせん)中」

戦後最強の横綱大鵬、平成の大横綱白鵬、不祥事で去りし露鵬に若ノ鵬等々と、お相撲さんのしこ名でお馴染みの鵬の字。

その意味は震旦(しんたん)の霊鳥・大鵬金翅?(たいほうきんしちょう)のこと。その体長数千里、天を覆う巨大な羽をひろげ、一飛びで九萬里も飛ぶという伝説の巨鳥です。

その衝撃波はまるでラドンかラルギュウスの如く、この巨鳥が飛ぶ時、家々は倒れ多くの人命家畜が失われるといいます。

この恐ろしい巨鳥を霊鷲山(りょうじゅせん)の霊鷲と重ね合わせる…それは「西遊記」だけの話ではありません。西遊記同様に、震坦の人々の神佛理解に大きな影響を与えたとされる、あの「封神演義(ほうしんえんぎ)」にもまた同様です…

ゆえに佛様はみな必ず霊鷲山を大事な説法の舞台に選ばれるといいます。お釈迦様だけではありません。はるか過去から果てしなき未来まで全ての佛様のメインステージは必ずここ霊鷲山なのです。

そうです。万物が流転するこの世にあって佛法が絶えぬように、霊鷲山も永遠です。

以前にもお話いたしましたように、佛教ではこの宇宙は誕生から発展し、やがて衰退、最後は水・火・風の三つの災害(三災)によって滅亡にいたる四段階(四劫)を一サイクルとし、これを無限に繰り返していくといいます。

この無限のサイクルの中で地球も誕生から滅亡を繰り返すわけですが、実はどの地球であっても霊鷲山だけは必ずセットになっているといいます。

佛様が居ます世ならば必ず説法の場とされ、無佛の世ならば縁覚(自力で佛法を悟り、その境地を己が一人で楽しむ聖者)が修行の場とし、さらに聖者もいない世ならば鬼神や精霊が棲み家とする、聖も魔も訪れる霊地。それが霊鷲山の実体なのです。

思えば法華経は善も悪も超え全てを救う尊い教え。まさにこの地以外に法華経の舞台にふさわしい処はないわけです。

塩入幹丈

元霊断院主任

福岡県妙立寺前住職

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