日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
法華経のお話 法華経のお話

#032
無量義経の段その六
(二)

蓬莱島の羽翼仙(ほうらいうよくせん)

「一時佛住。王舎城(おうしゃじょう)。耆闍崛山(ぎしゃくっせん)中」

戦後最強の横綱大鵬、平成の大横綱白鵬、不祥事で去りし露鵬に若ノ鵬等々と、お相撲さんのしこ名でお馴染みの鵬の字。

その意味は震旦(しんたん)の霊鳥・大鵬金翅?(たいほうきんしちょう)のこと。その体長数千里、天を覆う巨大な羽をひろげ、一飛びで九萬里も飛ぶという伝説の巨鳥です。

その衝撃波はまるでラドンかラルギュウスの如く、この巨鳥が飛ぶ時、家々は倒れ多くの人命家畜が失われるといいます。

この恐ろしい巨鳥を霊鷲山(りょうじゅせん)の霊鷲と重ね合わせる…それは「西遊記」だけの話ではありません。西遊記同様に、震坦の人々の神佛理解に大きな影響を与えたとされる、あの「封神演義(ほうしんえんぎ)」にもまた同様です…

蓬莱島(玉多い処ですね)から参戦し殷商に協力する羽翼仙。それがここでの大鵬の人間態時の名前です。

快進撃を続けてきた太公望一行の一斉攻撃も彼には全く効きません。それどころか、本性を現した彼の前では、周全軍が壊滅の危機に立たされます。

そこで登場するのがやはり佛様。崑崙山の仲間たる天竺は霊鷲山の燃燈(ねんとう)道人(どうじん)(序品・寿量品でお馴染みの過去佛・燃燈佛のこと。殷周革命はお釈迦様より古い時代のことから過去佛の登場となるわけです)の智謀に謀られた彼は強制的に道人の弟子にされ、天竺へと連れていかれることとなります。そうです。道人の住む山の守護神は彼こそ最もふさわしいという理由からです…

(この後、太公望一行の前に羽翼仙以上の強敵、孔宣(こうせん)が立ち塞がりますが、彼の正体は孔雀。結局、天竺側に調伏されて孔雀明王になったとされます。孔雀明王も大鵬も西遊記と同様な扱いになっている処が面白いですね)

塩入幹丈

元霊断院主任

福岡県妙立寺前住職

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