日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
法華経のお話 法華経のお話

#031
無量義経の段その六
(一)

時は紀元前一〇六六

「一時佛住。王舎城(おうしゃじょう)。耆闍崛山(ぎしゃくっせん)中」

戦後最強の横綱大鵬、平成の大横綱白鵬、不祥事で去りし露鵬に若ノ鵬等々と、お相撲さんのしこ名でお馴染みの鵬の字。

その意味は震旦(しんたん)の霊鳥・大鵬金翅?(たいほうきんしちょう)のこと。その体長数千里、天を覆う巨大な羽をひろげ、一飛びで九萬里も飛ぶという伝説の巨鳥です。

その衝撃波はまるでラドンかラルギュウスの如く、この巨鳥が飛ぶ時、家々は倒れ多くの人命家畜が失われるといいます。

この恐ろしい巨鳥を霊鷲山(りょうじゅせん)の霊鷲と重ね合わせる…それは「西遊記」だけの話ではありません。西遊記同様に、震坦の人々の神佛理解に大きな影響を与えたとされる、あの「封神演義(ほうしんえんぎ)」にもまた同様です…

時は紀元前一〇六六

「殷の紂王(ちゅうおう)は七十万騎なれども同体異心なればいくさにまけぬ。周の武王は八百人なれども異体同心なればかちぬ」と大聖人様が異体同心のよき実例に挙げられた殷周革命(紀元前一〇六六年)。

「封神演義」はその殷周革命を舞台に、周の名軍師・太公望(たいこうぼう)呂尚(りょしょう)(本尊抄の「大公、周公の成王を摂扶し」の大公のことです)を主人公に、彼が周の武王(周公の兄にして成王の父)を助け、暴君紂王が支配する殷商王朝を打倒するまでを描く一大伝奇小説です。

殷商には動物や植物、鉱物が進化した仙人たち、周には崑崙山(こんろんさん)の人間出身の仙人たちが協力することから、両軍共に実に大勢の仙人たちが登場し、バトルを展開していきます。

その中でも、主人公たちを最も苦しめる敵仙人の一人が、やはり大鵬金翅?というわけなのです。

塩入幹丈

元霊断院主任

福岡県妙立寺前住職

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