日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
よろこび法話 よろこび法話

#047
一切衆生悉有仏性の体験

新潟県阿賀野市 本妙寺聖徒団団長
小林 義明

本妙寺聖徒団は新潟平野の真ん中、田圃に囲まれたのんびりした所に存在し、しかもシベリヤから飛来する白鳥の瓢湖より寺まで徒歩十分、自然そのものに包まれておりますので、平和なシンボルみたいな聖徒団です。

聖徒団を結成してより五十五年、身延大会は結集第一回目より参加している根強い聖徒団です。

阿賀野市で一ケ寺の日蓮宗のため団結力も強く、歴代住職は檀徒より多数出家しており、檀家中が縁戚関係でなりたっているようなめずらしいお寺です。

ある時、上品なご婦人が一人来寺された。初めてお会いする方であり、お聞きしたところ、ご自分の先祖のルーツを訪ねて東京からお出でになったとのことでした。そこでお寺の過去帳を出して調べたところ、明治半ば頃まで檀家でありお戒名も記載され、墓地も存在していた。しかし墓地は終戦後墓地整理により無くなっていたが、先祖の親類も本妙寺檀家であり、確かに元檀家であったことが確認された。その方も非常に安心されてお帰りになったが、今では東京の法華宗の或る寺のお檀家になり、東京に移転されて三代目になっている。ご本人は或る会社の社長に嫁ぎ、ご主人も生まれは禅宗であったが法華宗になり御題目を唱えているとのことであった。

そんな縁があって東京のお盆会にはそのお宅へご回向供養に伺っており、何年か後に伺った時に、お仏壇に白木のお位牌が安置されておりました。どなたがお亡くなりになりましたかとお聞きしたところ、実は息子が二十五歳で急逝しましたとのこと、又ご主人の社長はお元気ですかとお聞きしたら主人も亦原因不明の病気で寝たきりとのこと、どうも様子がおかしいとおもいながらもお盆のことで詳しいことはお聞きせずに本妙寺に帰り、すぐに、社長の病気について、「九識霊断法」の指導を仰いだところ不思議の霊示であり、社長は肉体的な病気でなく霊障がしめされ、しかも動物霊と出た。

一切衆生悉有仏性の体験

それで本堂にて病気平癒のご祈祷を上げた結果、これ亦不思議な現象が現れた。本妙寺の本堂いっぱいに「牛」の霊が充満した。これはなんだろうか、理解できないことなので、直ぐに電話を掛け、お宅のご商売はなんですか、何を作っておられますかとお聞きしたところ、本社は東京ですが工場は山形県鶴岡市にあり、今は主に「コラーゲン」を製造しています。私も初めて「コラーゲン」という名前を聞いた時、「コラーゲン」とは何ですかと質問したところ、「コラーゲン」は牛の皮から抽出した「タンパク質」ということでした。

牛の皮はアメリカで専門に育成した牛を一年たつと殺し、皮だけを日本へ輸出するとのこと、日本の会社では皮という物質のみ扱うというシステムであった。牛の命を犠牲にして「コラーゲン」を作るカタチのみで牛の生命は全く考えになかったところに、牛の悲しみが霊障に現れたのであった。

牛の霊の日く、「人間の犠牲になる無数の牛は霊界で苦しんでいることはキリスト教では救ってはもらえない、仏教の法華経の供養のみが霊界に功徳される、牛のみならずあらゆる動物の霊に供養して頂きたい」と懇願された。

一切衆生悉有仏性の体験

私はすぐに鶴岡の工場に伺い工場の従業員全員に目に見えない牛の霊の話をし、牛の生命を犠牲にして会社は利益を上げ、従業員の生活が成り立っていることを説明した。目には見えない因果の理法については、会社も社員もまったく無知であったところがすべての原因であることを理解して頂いた。又、会社での実験に使用する小動物についても実験後単なるゴミとして捨てられていた。これもすぐに是正して焼却炉を購入して小動物の骨を埋葬することを教示した。牛の霊については工場の玄関前に「牛頭天王供養塔」を建設して供養することを指示した。

一切衆生悉有仏性の体験

一ヶ月後、供養塔も完成したので開眼供養を開催して全従業員と社長も元気で参列されて無事供養祭も終えた。その後倒産寸前の会社も立ち直り、業績もアップし順調な経営状態に立ち直った。その後、年に一度会社に伺い「牛頭天王供養祭」を実施している。

「コラーゲン」は現在ではあらゆる化粧品に含まれ、誰でも知っているが、動物を犠牲にしていることは誰も知らない。我々はあらゆる動物・植物・大自然の恩恵の下に生かされている。すべての「いのち」に助けられ、生かされていることを忘れて生活していることを、深く反省し感謝する意識を持たなければならないことを強く教えられた事例であった。

※この記事は、教誌よろこび平成31年2月号に掲載された記事です。

イラスト 小川けんいち

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