日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
よろこび法話 よろこび法話

#014
御題目を唱え、今を楽しんで生きましょう。

神奈川県小田原市
本典寺聖徒団副団長
戸田 雅子

信仰の相続~親から子へ、子から孫へ

自ら選んで

娘が三人目の子供を授かり、臨月を迎えた八月に産婦人科へ行った時の事。「予定日は二十七日だけど赤ちゃんは大きくなっているからいつ産んでもいいですよ。希望の日にちはありますか?」とお医者さまから言われたという。娘は自然に陣痛が来るのを待ちたいと伝え、その後二十八日に陣痛があり三千四百十六グラムの元気な男の子を出産した。人は生まれて来る時、親を自分で選んで生まれて来るという。子供は親を選べないというが、自らの意志で自分の魂の学びに一番相応しい両親、環境、人生を選んでこの世に生まれて来るのである。

ある産婦人科の医師が、自分が取り上げた赤ちゃんのその後を調査したところ二割程の子供が胎内記憶を語り、肉体を持たずに存在していた時のことを語り、前世の記憶まで話した子供もいたという。

仏様との約束

「衆生を哀愍し願って此の間に生まれ廣く妙法蓮華経を演べ分別するなり、(乃至)衆生を愍むが故に悪世に生まれて廣く此の経を演ぶるなり」

(法師品第十)

私達は何の為にこの世に肉体を持って生まれて来たのであろうか?私達はこの世に生まれて来る前に、それぞれがご本仏様に、この世で自分は何をするのか約束をして生まれて来るという。これを本願という。

本年十月、ノーベル医学・生理学賞を受賞した大村智教授は、「世の中に役立つ仕事を一つでも二つでも余計にやりたいと思って研究を重ねてきた」と話されていた。大村教授は微生物を研究して人々の命を救いたいという本願を持ってこの世に生まれて来たのであろう。その結果、アフリカの三億人もの人たちの命を救ったのである。「何十年にわたり、こつこつと細菌を見つける仕事に精進して来た」と教授は言われたが、「長い間辛い思い、苦しい思いをしました」とは言われなかった。それは、自ら願った目的とそれを達成するための人生であるからであろう。

信仰の相続~親から子へ、子から孫へ

人生に悔いなし

「我等宿福深厚にして、受け難き人身を受け遭い難き妙法に遭い奉れり」

(充霊願文)

大きな業績を残す生涯でなくとも、人はそれぞれ本願を持ってこの世に生まれて来る。私は何を願ってこの世に生まれて来たのであろうか?今年、還暦を迎え自分の人生を振り返って見ると、幼い時より意味は分からずとも「南無妙法蓮華経」と唱えていた。そして何時しか御題目は私の心の柱となり、辛いと感じた時も御題目があったればこそ踏ん張れた。

私は御題目の信仰に出会い、周りの人々と共に笑顔で生活をする。そういう人生を送る事を本願として生まれて来たと感じる。法華経、御題目に出会い、素晴らしき人々に出逢い、御題目の信仰を少しでも伝える事が出来たなら、我が人生に悔いなしである。

今を生きる

近頃「終活」という言葉を聞く。葬儀やお墓、遺言、遺品の整理等、死を迎える準備をすることを云う。しかし、人間の肉体は消滅しても本当の自分、魂は生き続けるのである。その魂の安心を考えずによいのであろうか。

肉体を離れた魂は肉眼では見えぬ世界(霊界)へ帰っていく、その世界は愛したものは全てある世界という。ならば本当の終活は神仏まします事を信じ、多くの人、多くのものを愛することであろう。

今、あることに感謝をし、

「この生を空しうすることなかれ」

(守護国家論)

今、御題目を唱え、今を楽しんで生きましょう。

イラスト 小川けんいち

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