日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
よろこび法話 よろこび法話

#001
祖山(身延山)総登詣運動『波木井殿御書』
弘安五年 六十一歳

妙法寺 蔵本知宏

釋迦佛は霊山に居して八箇年法華経を説給ふ、日蓮は身延山に居して九箇年の読誦也、傳教大師は比叡山に居して三十餘年の法華経の行者也、然りと雖も彼山は濁れる山也、我此山は天竺の霊山にも勝れ日域比叡山にも勝れたり、然れば吹く風も、ゆるぐ木草も流るる水の音迄も此山には妙法の五字を唱へずと云ふ事なし、日蓮が弟子檀那等は此山を本として参るべし、此則ち霊山の契也。

このお手紙は池上から御入滅の六日前に、身延山をご寄進下さった波木井実長公とお弟子や信徒に当てて出されたものと伝えられております。

大聖人様がお住まいだった当時の身延山は山険しくして草深く、訪れる者もないと言われたお山でした。しかし大聖人様はこの身延山をこよなく愛されたのです。

お釈迦様が晩年の八年間法華経をお説きになられた霊鷲山(霊山)になぞらえて、大聖人様は九年間法華経を読誦しお題目を唱えたこの身延山は、すべての仏様・諸天善神がおわす、まさに霊山であると仰っしゃられました。

霊山とは、お釈迦様が永遠にお住まいになられている浄土。そこでは常に法華経が説かれ、諸佛諸菩薩諸天善神が集まられるところです。インドの霊鷲山を遙かに超越した、私たちが後生にお参りするところです。

大聖人様は、法華経読誦・弟子信徒の教化・御両親様へのご回向の毎日であったこの身延山での生活の中で、このお山こそが霊山であると強く実感されたのです。だからこそ、風の音も揺れる草木の音も、川の流れの音もすべてお題目に聞こえられたのです。

「皆この身延山にお参りしなさい。お参りすることが私との霊山浄土往詣の約束になるのですよ」との大聖人様のお言葉は、波木井公やお弟子・信徒たちだけでなく、私たちへの遺言と受け取りたいものです。

このご文章の後に、次の一文があります。

「縦ひ何くにて死に候とも九箇 年の間心安く法華経を読誦し奉り候山なれば墓をば身延山に立てさせ給へ。未来際までも心は身延山に住むべく候」

今宗門では、祖山(身延山)総登詣運動を展開しております。法華経・お題目に縁あるすべての方が、大聖人様の御魂が棲まわれる地、この身延山に参詣し、このお山の霊気を感じていただき、そして大聖人様から直接霊山の契りを頂戴していただきたいと、心から念願するものです。

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